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憂い顔と笑顔2015年8月18日

こんにちは。富家リハビリセンター川越です。

Tさんは事業家で町の振興にも尽くし、還暦記念のパーテイーにはたくさんのお友達の前で、美しいテノールの歌声を披露しそれをCDとして記念に配るほどの歌の名手でもありました。

ところが脳梗塞を起こしてそこから立ち直ったものの、右マヒと音やことばを聞き分けるのが難しく意味のある言葉を話せない失語症になりました。

しかし好きな歌はいまでも思い出してそのメロデイーを口ずさみ、皆さんと歌うときには歌詞の一部を言いながら歌ったりできます。

この日は「雨降りお月さん」の歌を歌ってからSTがその音符をお見せすると、わかる、わかる、というように指で追って行きましたが、途中で、それをやめ、首を振って、うつむいて黙ってしまいました。

その沈黙に込められた悲しみが、こちらにも伝わってきて胸を突かれる思いでした。

ところが、2時間くらいたったレクリエーションの時間に、お隣のLさん、この方もいつもSTが質問したり答えを要求すると「これ(書いてあること)はわかるけど何言ってるか全然分かんないんだ」とおっしゃり、語音の弁別、聞き分けがむずかしい方ですがこのLさんが話し始められると Tさんの表情がぱっとやわらぎ、冗談を言い返すように笑顔で、うれしそうに、何か話しかける様子です。

そういえば今朝もそうでした。お二人の気持ちはよく通じあっているのでしょう。

言語の実習生さんも「TさんとLさんは仲がいいんですねー。」というほどです。こんな風にTさんは状況を理解し、相手の気持ちをつかむことがとてもお上手で、いつも穏やかなその笑顔は周りの人たちも微笑ませてくださいます。

富家リハセンター川越の合言葉は「笑顔と仲間」。そんな言葉にぴったりのひとときを作って下さるのは今日もここにいらっしゃるお一人お一人です。

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