リハビリテーション・ケア合同研究大会2007saitamaにおいて、下記演題発表を行いました。
臨床心理士によるデイケアでの取り組み 〜アートセラピーがもたらした精神的安定と行動変容〜
デイケア利用者様の心理面における問題の検討
胃ろう造設患者様の摂食機能療法について
デイサービスにおける口腔ケア指導 〜第2報〜
デイサービスにおける口腔ケア指導 〜第2報〜(スライド資料/PDF)
臨床心理士によるデイケアでの取り組み 〜アートセラピーがもたらした精神的安定と行動変容〜
埼玉県 医療法人社団富家会富家病院 臨床心理士 ○高橋祐子 平石麻奈実
【はじめに】
当院では臨床心理士(以下CP)が2名常勤勤務し、デイケアにおいても集団精神療法としてアートセラピー(以下AT)を行っている。ATとは作品の制作を通して自己表現をすることにより自己効力感を高める効果があるとされ、今回の研究ではその効果について報告する。
【対象・方法】
AT継続参加者12名(男性6名、女性6名、平均年齢68.1歳、疾患名:脳血管障害等、HDS-R平均得点24.9点、平均通所期間20.9ヶ月)に対し、CP2名が下仲(1991)による高齢者のための行動評価表を使用して、各AT開始時・制作時・制作後の行動評価を行った。
【結果】
製作後の行動評価得点において、前期と後期では統計的な有意差はみられなかった(F(2,22)=2.314,p<.05)ものの、点数の上昇がみられた。
【まとめ】
利用者の多くは社会的役割等の喪失体験から自己評価の低下を経験している。今回の研究では、ATを通して社会性を回復し、物を創り上げる体験を通して自己表現していくことが出来た結果、自己効力感が高まったと推測される。当院ではCPが、AT参加者の疾患に配慮したテーマの選択や受容的な関わりを行い、参加者の安心感・居場所の提供を行っている。自己効力感は行動変容を促す(坂野ら,1987)とされており、今回の研究においても同様の心理的変化が起こったものと考えられる。
デイケア利用者様の心理面における問題の検討
【はじめに】
当デイケアは病院併設型の40名定員の通所リハビリテーション施設である。
登録利用者様は100名にのぼり、個々の障害や心理面の問題も様々である。病院から自宅、そして通所リハビリと環境の変化の受容が難しく不安やストレスを感じ、リハビリ意欲を持てない方も少なくない。当デイケアでは臨床心理士による面接を行い心理面の状況を把握し、デイケアスタッフとの情報の共有や、対応の統一をする事で利用者様の心理面の安定に努めている。
今回その取り組みにより、良好な経過が見られた事例を報告する。
【症例】
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症例1 68歳 男性 アルツハイマー型認知症
通所初期にはデイケア内で徘徊が見られ、着座している事も出来ず、時々外に出て行く事もあった。複数の職員が関わると混乱するため、同じ行動パターンと同じ職員が関わる事により、一日の流れが掴め、徘徊が見られなくなった。
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症例2 69歳 男性 脳梗塞後遺症左片麻痺
通所開始時より環境の変化への対応と周囲の状況把握が難しく、また排便・排尿が思う様に出来ない等の不安が強く、リハビリに集中できなかった。本人の訴えに対し、すぐに対応し同じ回答を職員が行う事で、訴えが少なくなりリハビリが行える様になった。
【まとめ】
職員が情報を共有し統一した対応を行う事で、現在の自分自身の状況を受容でき、意欲的にリハビリに取り組める様にもなると思われ、これはさらに生活の質を高める事に繋がるのではないかとも考えられた。
胃ろう造設患者様の摂食機能療法について
埼玉県 富家病院
○奥住夏与子(言語聴覚士)瀧村美香(言語聴覚士)二階堂さおり(Ns.)草野牧子(Ns.)
【はじめに】
当院では、経口摂取が困難になった患者様に対し、積極的に胃ろう造設を行い、併せて摂食機能療法を進めている。その結果、積極的な練習が可能となり、経口摂取再開に至った例を多数経験したので報告する。
【対象および方法】胃ろう造設後、摂食機能療法の実施により経口摂取再開となった例15例について、検討を行った。
【結果】
15例のうち、経口のみで必要栄養量の摂取が可能になったのは7例、お楽しみ程度の摂取が可能となったのは8例であった。経鼻経管を行っていたケースでは胃ろう造設後、熱発、痰の減少がみられ、摂食機能療法を定期的かつスムーズに行うことができた。また当院の患者層として重症例が多く、経鼻経管の場合はチューブの抜去や不穏状態が認められたが、胃ろう造設後に減少がみられた。
【まとめ】
胃ろう造設を勧めた場合、「食べられる可能性がなくなるのでは」「身体に傷を付けたくない」とご本人や家族が抵抗を示す例が少なくない。しかし、胃ろう造設することにより、さらに積極的な摂食機能療法を行うことができ、機能面の改善につながったと考えられる。今後はさらに検討を重ね、病棟と連携を取りながらより効果的な練習を進めていきたい。
デイサービスにおける口腔ケア指導 〜第2報〜
医療法人社団富家会 富家病院 ふじみ野市立大井デイサービスセンター
阿部 考江(介護職員)大森 美幸(介護職員)仲野 祐子(生活相談員)
【はじめに】
当施設では開設当初より月1回、歯科医師による検診と歯科衛生士によるブラッシング指導を実施しているが、口腔ケアに対する意識の低さと口腔状態の悪さを指摘された。一昨年前に行ったアンケート調査では、「習慣化している」という回答が多数であったが口腔状態は悪く、職員の指導が活かされていなかったため、この数年間の口腔ケアに対する意識・知識向上に向けての取り組みを振り返り、前回との比較のためにアンケート調査を実施したのでその結果をここに報告する。
【取り組み】
一昨年前より取り入れたブラッシングチェック表の使用に加え新たな取り組みとして@ご家族様の意識向上と協力を目的として、口腔ケアをテーマに介護者教室を実施した。A口腔ケアについての資料を配布し自宅で考える時間をもって頂けるようにした。
【結果・まとめ】
今回のアンケート調査では、口腔ケアについて理解していると答えた方は全体の85%であり、前回の63%を上回ったことから意識は向上していると考える。しかし、歯科衛生士からは口腔状態はあまり改善がみられないと指摘を受けた。これは歯科衛生士の指導が一定の利用者様に限られてしまったことと、職員の知識・意識不足から指導が適切に行えなかったものと考える。今後は、個々の職員が正しい口腔ケアの知識・技術を習得し、利用者様に実践して効果を高めていくことが課題である。
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